INFO

全会一致夢日記Vol.22|「信号と沈黙」

date:2025/08/25

【夢のプロンプト】
満を持してのオフィシャルサイトオープン
結果は営業電話の嵐
日課は着拒

電話が鳴る。僕は受話器を取らない。その代わりに、電話機本体の小さなディスプレイに表示される十桁の数字を、ただじっと見つめる。
そして、おもむろに指を伸ばし、「着信拒否」と書かれたボタンを押すのだ。それが、僕の新しい日課だった。

満を持して宇宙に放った美しい人工衛星、つまりオフィシャルサイトという名の孤独な信号は、どうやら僕が思っていたよりも多くの受信機に届いてしまったらしい。
電話は、その応答だった。見知らぬ誰かからの、一方的な応答だ。彼らは僕の信号の意味を問うことなく、ただ、自分たちの信号を僕の耳に流し込もうとする。

僕は、そのコミュニケーションを拒絶した。着信拒否のリストが増えていくたびに、
僕のオフィスの静寂は、より純度を増していくように感じられた。
それはまるで、ノイズの多い街中で、高性能なノイズキャンセリングイヤホンを装着した時のような、人工的で、少しだけ不健康な静けさだった。

「社長」

ふと、声がした。見ると、猫村が僕のデスクの向かいに座り、こちらの電話機をじっと見つめていた。
「それは、沈黙を集めているのと同じですね」
彼は言った。
「鳴り響くはずだった音を、一つずつ丁寧に殺していく。そうやって、完璧な無音のコレクションを完成させるつもりでしょう。あなたのサイトは、そのための、最高の餌だったというわけだ」
猫村は、まるで美術品を眺めるかのように、うっとりと僕の電話機を見つめている。
「そのリスト、完成したら見せてくださいね。きっと美しいでしょうから。殺された音のリストなんて」

その時、また電話が鳴った。僕は、猫村に見せつけるように、ゆっくりと、しかし確実な手つきで、その番号を沈黙のコレクションに加えた。



小熊:「…ひどい二日酔いの朝みたいな夢だったな。今日の文体、やけに酩酊感があったぞ」
猫村:「ええ。今夜、すべてのロック・ファンに感謝します、でしたね」
小熊:「その感謝の念で、この曲を選ぶのか…。なんだか、ひどく寂しい曲じゃないか」
猫村:「ええ。口では『一人にしてくれ』と言いながら、心では『愛されたい』と叫んでいる。社長、あなたのことですよ」
♪ 『How Soon Is Now?』 – The Smiths

BACK
TOPへ戻る