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全会一致夢日記Vol.26|「男のホットサンド」

date:2025/09/22

【夢のプロンプト】
会社の昼食は自炊のパスタ
最近ホットサンドメーカーにハマっている
自炊文化は続けたい(社員はいないけど)

いつからだったか、会社の昼食は、自分でこしらえたパスタと決まっていた。
にんにくと鷹の爪をオリーブオイルで炒め、茹で上がった麺と絡めるだけの、簡単なペペロンチーノだ。
誰に気兼ねするでもなく、自分のためだけにパスタを茹でる。その、なんでもない時間が、私は存外、気に入っていた。

ところが、である。最近、私の城に新しい仲間がやってきた。ホットサンドメーカーとかいう、鉄の塊だ。
これが、なかなかの優れもので、食パンに好きなものを挟んでぎゅっと押しつぶすだけで、
喫茶店で出てくるような、こんがりと焼き目のついたご馳走が出来上がる。
ハムとチーズ、昨日の残りのカレー、なんでもござれだ。

パスタ一筋だった私の心は、この新しい男の出現に、少し、揺れていた。
今日はパスタか、それともホットサンドか。

社員もいないこのオフィスで、誰に相談するでもなく、一人、真剣に悩む。
馬鹿馬鹿しいと思いながらも、この悩みが、まんざらでもないのだ。

ふと、部屋の隅に猫村くんの気配がした。彼は何も言わずに、ただじっと、私の手元を見ている。

「……ホットサンドは、浮気みたいなものですかね」
私がぽつりと呟くと、彼は、ほんの少しだけ口の端を上げて、こう言った。

「いいえ。パスタが『日常』で、ホットサンドは『ハレの日』なんですよ。毎日がお祭りじゃ、疲れちゃうでしょう」

なるほど、そういうものか。私は妙に納得して、その日は、食パンを手に取った。
鉄の塊が、じゅう、と嬉しい音を立てる。誰のためでもない、私一人のための、ささやかな祝祭が始まった。




小熊:「…今日の夢は、平和だったな。なんだか、お腹がすいてきたぞ」
猫村:「ええ。『時間ですよ』。そろそろお昼の時間でしたね」
小熊:「その言い方だと、まるでドラマのようだ。それで、この曲を選ぶのか」
猫村:「ええ。男のささやかな休日は、これくらい洒落ていないと、格好がつきませんから」
♪ 『Waltz for Debby』 – Bill Evans Trio

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